INTERNET — 2003

2003年のインターネット

つなぎ方が入れ替わった

第2層 ブロードバンド化存在したサービス 12

2003年に日本のインターネットで起きたことは、ひとつの言葉でまとめられる。入れ替わりである。 自宅のパソコンからインターネットを使う世帯のうち、ブロードバンドを使っている比率は 前年末の29.6%から47.8%へ、1年で18.2ポイント上がった。 同じ期間に、ISDNや電話回線によるダイヤルアップを使っている世帯は56.1%から38.4%へ、 17.7ポイント下がっている。ブロードバンドとISDN常時接続を合わせた常時接続回線は61.7%。 1年前まで多数派だった従量制の接続が、この年に少数派へ落ちた。 この動きの中身を見ると、単なる乗り換えではないことが分かる。 DSLの契約数は平成15年度末に1,120万契約。 一方、FTTHは前年度末の31万契約から114万契約へ3.7倍になっている。 ケーブルインターネットも258万契約。ブロードバンド回線契約数は全体で1,495万契約に達した。 つまり、ダイヤルアップからDSLへの移動と、DSLの先にある光への移動が、同時に始まっていた。 同年11月には最大40Mbps程度のDSLサービスも登場している。 価格を押し下げていたのは競争そのものである。 DSLの契約数に占める新規参入事業者(NCC)のシェアは平成15年度末で63.5%。 100kbps当たりの料金で国際比較すると日本が最も低廉で、 10Mbps〜100Mbpsの月額料金の安さでは、OECD加盟国の上位10サービスのうち8つを 日本の事業者が占めていた。既存の電話会社ではない側が過半を取ったことが、 この時期の日本のブロードバンドの性格を決めている。 もうひとつ、この年に静かに起きていたのが端末の複数化である。 インターネット利用人口は7,730万人(人口普及率60.6%)で初めて6割を超えた。 そのうち「パソコンのみ」で使う人は3,106万人(40.2%)まで下がり、前年から15.8ポイント減。 代わりに「パソコンと携帯電話等の両方」が2,834万人(36.7%)で13.2ポイント増えている。 利用場所も「職場からのみ」「学校からのみ」が減り、複数の場所から使う人が増えた。 回線が定額になったことと、端末が一つでなくなったことが、同じ年に重なっている。 いつでも、どこからでも、どの機械からでもつながるという後年の当たり前は、 技術としてはもっと後に完成するが、統計の上ではこの年に輪郭が現れた。

この年のインターネット

2003年時点で日本から使えたサービスのカテゴリ。存在しなかった領域は表示していません。

掲示板コミュニティ検索ポータルツールニュースケータイホスティング個人サイトチャットメールショッピングオークション

2003年の主役

2003年のネット文化

19872008チャットルーム同じ時刻に集まった人どうしが、短い文を即時にやりとりする「部屋」。 パソコン通信の機能として始まり、個人サイトが自分の部屋を置く形へ広がった。 通信料が定額になる時間帯に人が集まるという、日本特有の集まり方をした場所でもある。19972008直リンク禁止他所のサイトの画像やファイルを自分のページから直接呼び出すことを禁じる注意書き。 個人サイトの「お約束」ページにほぼ必ず書かれていた。マナーの問題に見えて、 実際には転送量が有限で、しかも呼ばれた側だけが払うという料金の構造から生まれている。20002008Flash文化Flash で作られた短いアニメーションや音楽作品を、個人が公開して見せ合っていた文化。 常時接続が普及した2000年代前半に、ブラウザだけで動く映像表現として広がり、 Flash Player のサポート終了(2020年12月31日)で再生手段ごと失われた。19962008キリ番アクセスカウンタが10000などのきりのいい数字になったとき、その訪問者が申告して 記念のイラストや文章をもらう習慣。個人サイトの訪問者数が「数えられる規模」だった時代に、 数字そのものをイベントに変えた文化。19962006工事中ページ中身がまだ無いページに「工事中」と書いて公開しておく習慣。作業員やバリケードの アニメーションGIFが添えられることが多かった。未完成であることを隠さず、 むしろ表示していたという点に、当時のサイトの位置づけが表れている。19982010メールマガジン登録した購読者へ定期的にまとまった内容のメールを配信する仕組み。「メールマガジン」という呼称自体が 1990年代末に広まった和製英語で、英語圏では newsletter と呼ばれる。 個人が定期刊行物の発行人になれた、日本のネット史で最初の形式だった。19962007相互リンク個人サイト同士が互いにリンクを張り合う習慣。掲示板やメールで申請し、 了承を得てから張るという手続きを伴うことが多かった。検索エンジンが弱かった時代に、 サイトを見つける主要な経路そのものだった。19952004テレホタイムNTTのテレホーダイが適用される23時から翌朝8時までの時間帯。この9時間だけ通信料が定額になるため、 日本中のネット利用者が同じ時刻に一斉に接続した。掲示板もチャットも23時に人が現れるという、 料金制度が文化を作った例。19982005テキストサイト文章そのものを読ませることを主目的にした個人サイト。画像も動画も置けない、 あるいは置くと重すぎるという条件の下で、文体と改行と間の取り方だけで 読ませる技術が磨かれた。2000年前後の数年間に集中して現れた形式。

2003年の環境

スペック表ではありません。なぜ当時のWebがあの見た目・使い方だったのかを 理解するための前提です。

主流端末
デスクトップPC/ノートPC/携帯電話(iモード / EZweb / J-スカイ)
ブラウザ
Internet Explorer 6(Windows XP に同梱される形で広く使われた)/Netscape / Mozilla
回線
ADSL(最大12M〜24Mbps。11月には最大40Mbps程度も登場)/FTTH(契約数114万。前年度末31万から3.7倍)/ケーブルインターネット(258万契約)/ISDN・ダイヤルアップ(自宅パソコンの38.4%まで低下)
画面解像度
1024×768 が標準
携帯電話
携帯電話等からの利用者は4,484万人。パソコンとの併用が主流になり始めた
保存容量
CD-R / DVD-R/数十〜100GBのHDD/USBメモリ
主な検索手段
検索が入口としての比重を高めた時期。常時接続で回遊コストが下がり、 「とりあえず検索してから決める」という行動が成立するようになった

2003年のネット人口

インターネット利用人口7730万人
平成15年末。1年で788万人増。人口普及率60.6%で初めて6割を超えた出典: (1)国民生活に浸透するインターネットの利用(平成16年版 情報通信白書)
自宅パソコンの常時接続回線利用世帯61.7%
平成15年末。ブロードバンドとISDN常時接続の合計。 ISDNや電話回線によるダイヤルアップは56.1%から38.4%へ17.7ポイント減少出典: (1)世界最高水準のブロードバンド(平成16年版 情報通信白書)
ブロードバンド回線契約数1495万契約
平成15年度末。内訳はDSL 1,120万・ケーブル258万・FTTH 114万(前年度末31万から3.7倍)出典: (1)世界最高水準のブロードバンド(平成16年版 情報通信白書)
DSL契約数に占める新規参入事業者のシェア63.5%
平成15年度末。料金の低廉さは100kbps当たりで国際的に最も低い水準だった出典: (1)世界最高水準のブロードバンド(平成16年版 情報通信白書)

2003年の画面

実際の画面の複製ではなく、当時の構成を説明するために作成した模式図です。

www.yahoo.co.jp1024px
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サービス
カテゴリ
主要ニュース
トピックス
オークション
広告
フッタリンク
2003年の画面構造常時接続の普及で1ページに載せられる情報量の上限が上がり、3カラムが完成した時期。 左にカテゴリ、中央にニュースと検索、右にオークションと広告という配置は、 以後10年近く日本のポータルの標準になる。現在の目には過密に見えるが、 横に広く縦に短い画面で、マウスで細かいリンクを正確に押せることが前提だった。1024×768 が標準になり、横幅の使い方が一気に変わった※ 実際の画面の複製ではなく、当時の構成を説明するために作成した模式図です。
bb.yahoo.co.jp(会員向けポータル)800px
会員向けブロードバンド・ポータル
映像/音楽/ゲーム/オンライン教育
動画コンテンツ(提携企業の配信)
ネットワーク対戦ゲーム
接続状況・回線速度の案内
課金・決済(コンテンツ料金をまとめて請求)
サポート・工事の案内
2002年の画面構造ダイヤルアップ時代のページが「軽さ」を最優先に作られていたのに対し、 ここでは映像・音楽・対戦ゲームが最初から一列に並んでいる。 つないでいる時間が課金されなくなったことで、 重いものを置いても読者が逃げないという前提に変わったことがそのまま画面に出ている。 もうひとつの要点は課金の欄で、コンテンツ料金を回線の請求にまとめる仕組みが ポータル側に組み込まれていた。 これは実際の画面の複製ではなく、構成を説明するための模式図である。常時接続を前提に、動画や音楽の帯を並べられるようになった最初期の画面構成※ 実際の画面の複製ではなく、当時の構成を説明するために作成した模式図です。

当時のWebを見る

実際に保存された2003年のページは、外部のWebアーカイブで閲覧できます。 保存の有無はサービスごとに異なるため、各サービスのページから状態を確認してください。

サービス索引から探す

出典

  1. 公的資料(1)国民生活に浸透するインターネットの利用(平成16年版 情報通信白書)総務省
    平成15年末のインターネット利用人口7,730万人(1年で788万人増)、人口普及率60.6%、 世帯普及率88.1%・企業98.2%・事業所82.6%、パソコンから6,164万人・携帯電話等から4,484万人、 「パソコンのみ」3,106万人(40.2%、前年比15.8ポイント減)、 「パソコンと携帯電話等」2,834万人(36.7%、13.2ポイント増)、利用場所の複数化
    確認日: 2026-08-16
  2. 公的資料(1)世界最高水準のブロードバンド(平成16年版 情報通信白書)総務省
    平成15年度末のブロードバンド回線契約数1,495万契約、DSL 1,120万契約、 ケーブルインターネット258万契約、FTTH 114万契約(前年度末31万契約から3.7倍)、 平成15年11月に最大40Mbps程度のDSLサービス開始、 自宅パソコンでのブロードバンド利用世帯29.6%→47.8%、ダイヤルアップ56.1%→38.4%、 常時接続61.7%、ブロードバンド利用人口2,607万人(人口普及率20.4%)、 DSL契約数に占めるNCCシェア63.5%、100kbps当たり料金の国際比較で最も低廉、 OECD加盟国の上位10サービスのうち8つが日本の事業者
    確認日: 2026-08-16
  3. 一次資料22年の歴史に幕。赤い袋で一世を風靡した「Yahoo! BB ADSL」が切り拓いた日本のブロードバンドソフトバンク株式会社 2024-03-25
    開始からおよそ2年半でADSL利用者シェア35%以上の1位になったこと、 2003年1月のソフトバンクBB株式会社設立、パラソル隊による赤い紙袋の配布
    確認日: 2026-08-16

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