キリ番
アクセスカウンタが10000などのきりのいい数字になったとき、その訪問者が申告して 記念のイラストや文章をもらう習慣。個人サイトの訪問者数が「数えられる規模」だった時代に、 数字そのものをイベントに変えた文化。
なぜ当時あたりまえだったのか
前提として、当時の個人サイトにはアクセス解析がほとんど存在しなかった。 無料スペースの管理画面に詳しいログはなく、サイト主が自分の訪問者数を知る手段は、 ページに貼ったアクセスカウンタの数字だけだった。 この数字は訪問者にも見えている。つまり、サイト主と訪問者が唯一共有できる指標がカウンタだった。 さらに重要なのは規模である。1日の訪問者が数十人という個人サイトでは、 10000という数字に到達するのに何か月もかかる。到達は珍しい出来事であり、 そこに立ち会った人がいるという偶然が成立した。訪問者が万単位のサイトでは、 誰が10000人目かを特定することにも報告することにも意味がなくなる。 キリ番は、アクセス解析が無く、規模が小さく、サイト主と訪問者の距離が近いという 三つの条件が同時に揃っていた時期にだけ成立した儀礼だった。
なぜ消えたのか
三つの条件がすべて崩れた。第一に、アクセス解析が無料で使えるようになり、 カウンタは訪問者に見せる必要のない情報になった。表示しても意味がないので、 多くのサイトからカウンタ自体が消えた。第二に、検索エンジンからの流入が増え、 一見の訪問者が大半を占めるようになった。名乗り出る関係がそもそも成立しない。 第三に、発信の場がブログとSNSへ移り、訪問者数はサイト単位ではなく記事単位・投稿単位で 数えられるようになった。数字が細かく分割されると、きりのいい数字という概念自体が消える。
今でいうと何か
フォロワー数の節目を投稿で祝う習慣。ただしキリ番は「訪問した側が申告する」点が決定的に違い、 祝われるのはサイト主ではなく、たまたま立ち会った訪問者のほうだった
※ 完全に同じものではありません。機能や文化の系譜として近いものを挙げています。