直リンク禁止
他所のサイトの画像やファイルを自分のページから直接呼び出すことを禁じる注意書き。 個人サイトの「お約束」ページにほぼ必ず書かれていた。マナーの問題に見えて、 実際には転送量が有限で、しかも呼ばれた側だけが払うという料金の構造から生まれている。
なぜ当時あたりまえだったのか
画像や音声のファイルは、ページ本体のHTMLとは別のファイルとしてサーバに置かれている。 他人のページからそのファイルのURLを直接指定すると、表示しているのは相手のページなのに、 通信の負荷とデータ転送量は置いている側のサーバにだけ発生する。 当時の個人サイトは無料または低価格の共有サーバに置かれており、 容量と月あたりの転送量に上限があった。上限を超えると表示が止まるか、追加料金がかかる。 つまり直リンクは、見ず知らずの相手に自分の請求書を回される行為だった。 もうひとつは帰属の問題である。断り書きが無い限り、閲覧者はページに載っている画像を そのページの作者のものだと考える。無断で他所の画像を自分のページに埋め込んで表示することは、 ある種の盗作とみなされることが多かった。 負担と帰属という二つの理由が重なっていたため、 「直リンクはご遠慮ください」は個人サイトのほぼ全てに置かれる定型文になった。
なぜ消えたのか
第一に、回線と保存領域が安くなり、転送量を1人が肩代わりする痛みが小さくなった。 第二に、埋め込みを前提にしたサービスが標準になった。 動画は配信元が用意した埋め込みプレイヤーで貼るものになり、 SNSではURLを投稿するとカードが自動で生成される。 外部から参照されることが事故ではなく仕様になった時点で、禁止する意味が消えている。 ただし考え方が消えたわけではなく、サーバ側でリファラを見て弾く仕組みは今も普通に使われている。 貼られる側が費用を持つという非対称は解決されておらず、対処が注意書きから設定に移っただけである。
今でいうと何か
公式の埋め込みプレイヤーと、SNSのリンクカード。 どちらも「外から参照されること」を前提に設計されており、負担も帰属も配信元が管理している
※ 完全に同じものではありません。機能や文化の系譜として近いものを挙げています。