テレホタイム
NTTのテレホーダイが適用される23時から翌朝8時までの時間帯。この9時間だけ通信料が定額になるため、 日本中のネット利用者が同じ時刻に一斉に接続した。掲示板もチャットも23時に人が現れるという、 料金制度が文化を作った例。
なぜ当時あたりまえだったのか
1995年8月22日に始まったテレホーダイは、あらかじめ指定した電話番号への通話が、 23時から翌朝8時までのあいだ定額になるサービスだった。 当時のインターネット接続は電話回線を使う従量課金であり、昼間に長時間つなぐと 通信料が家計を圧迫する水準になった。定額になる9時間だけつなぐという行動は、 節約というより現実的にほぼ唯一の選択肢だった。 結果として起きたのは、利用時間の極端な集中である。個人利用者の多くが ほぼ同じ時刻に接続し、ほぼ同じ時刻に切断した。 掲示板の書き込みは23時台に急増し、チャットは23時にならないと人が集まらず、 サイトの更新は深夜に行われた。 当時の利用者に「夜のインターネット」という共通の感覚があるのは、 嗜好の問題ではなく料金制度の帰結である。
なぜ消えたのか
ADSLによる常時接続と定額制が普及し、時間帯を選ぶ理由が消えた。 つなぐという行為自体がなくなり、常につながっている状態が標準になったことで、 同時刻に人が集まるという現象も解消された。 テレホーダイ自体はその後も長く提供が続いたが、利用者は減り続け、 固定電話網のIP網への移行にともなって2023年12月31日に提供を終了している。 28年の歴史の後半は、すでに役目を終えたサービスとして残っていた期間だった。
今でいうと何か
正確に対応するものがない。強いて言えばライブ配信や同時視聴のように時刻を共有する体験だが、 当時は特定のサービスではなくインターネット全体が同じ時刻に動いていた
※ 完全に同じものではありません。機能や文化の系譜として近いものを挙げています。