メールマガジン
登録した購読者へ定期的にまとまった内容のメールを配信する仕組み。「メールマガジン」という呼称自体が 1990年代末に広まった和製英語で、英語圏では newsletter と呼ばれる。 個人が定期刊行物の発行人になれた、日本のネット史で最初の形式だった。
なぜ当時あたりまえだったのか
当時、個人がまとまった文章を継続して届ける手段は限られていた。 ホームページは置いておくことはできても、更新したことを読者に知らせる方法が無い。 訪問は読者の気まぐれに依存し、書いた側からは誰が読んだのかも分からなかった。 メールマガジンはこの非対称を逆にした。 購読を希望する人が自分のメールアドレスを登録し、次号から自動的に受信する。 読者の側が待つのではなく、書き手の側から届くという順序が、 個人の発信で初めて成立した形式だった。 配信管理サービスを使えば、技術的な知識やサーバが無くても発刊できたことも大きい。 雑誌の発行になぞらえた「創刊」「バックナンバー」「購読中止」という語彙がそのまま持ち込まれ、 個人が編集長を名乗る文化が生まれた。 有料のものも成立し、月額や年額の購読料を取る形式は、 後年の有料ニュースレターとほぼ同じ構造をこの時点で持っていた。
なぜ消えたのか
RSSリーダー、ブログ、そしてSNSのフォローが、同じ「更新が届く」役割をより軽い操作で満たした。 受け取る側から見れば、メールボックスは仕事の連絡と混ざるうえ、 購読数が増えるほど処理しきれなくなる。 加えて、宣伝や販売促進のメールを単にメールマガジンと称する例が増え、 語そのものが読みたいものではなく届いてしまうものの色を帯びた。 形式が消えたのではなく、言葉のほうが先に疲れたケースである。 実際、購読者が費用を払って読む定期刊行物という原型は、 ニュースレターという別の名前で2020年代に戻ってきている。
今でいうと何か
有料・無料のニュースレターサービスと、SNSのフォロー。 仕組みはほぼ同じで、変わったのは配信基盤と、購読が公開されるかどうかの違い
※ 完全に同じものではありません。機能や文化の系譜として近いものを挙げています。