魔法のiらんど

統合・吸収ホスティング個人サイトケータイ19992025(26年)

1999年、iモードと同じ年に始まった無料ホームページ作成サービス。 パソコンを持たない中高生が携帯電話だけで自分のページを持ち、 キリ番の報告や掲示板への記念書き込みという個人サイトの作法が、小さい画面の中で再現された。

基本情報

サービス名
魔法のiらんど魔法のアイランド、maho.jp
開始
1999
無料ホームページ作成サイトとしての開始年。運営は「1999年より」としており、 月までは公表していない。NTTドコモのiモード開始と同じ年にあたる
終了
20253月31日
運営
株式会社KADOKAWA(アスキー・メディアワークス)
当時のURL
http://ip.tosp.co.jp/
現在
https://maho.jp/

その時代の立ち位置

誰が使っていたか
パソコンを持っていない、あるいは自由に使えない中高生。とくに女性が中心だった。 家にパソコンが無くても自分のページを持てたという点が、 パソコン側の無料ホームページサービスとの決定的な違いにあたる
何のために
自分のページを作り、友人や他の利用者と交流すること。 ホームページ、掲示板、アルバム、メールマガジン、アンケートが一式で用意されており、 携帯電話だけで作成から更新まで完結した
何が新しかったか
個人サイトの作法が、携帯の画面で独立に再発生したこと。 アクセスカウンターでキリ番を踏んだ人がサイトの作成者に報告し、 掲示板に記念のコメントを書き込む ── パソコン側の個人サイトで育っていた習慣が、 小さい画面の中でも同じ形で定着した
今でいう何か
スマートフォンだけで完結する投稿サービス全般。 ただし当時は「自分のページ」という場所の単位が保たれており、 投稿が流れていくのではなく、玄関のある構造を持っていた
当時の競合
Yahoo!ジオシティーズiモード

魔法のiらんどを時間旅行する

デザインの変化を並べるだけではなく、なぜそう変わったのかを書いています。

  1. 1999パソコンが無くても、自分の場所が持てた1999年のネットへ →

    1999年、iモードと同じ年にサービスが始まった。 無料でホームページを作成でき、携帯電話だけで作成から更新まで完結する。 この条件が誰を呼び込んだかが重要である。 当時、パソコンは一家に一台あれば多いほうで、 置いてある場所も居間や親の部屋であることが多かった。 家にパソコンが無い、あるいは自由に触れない層にとって、 自分の場所を持つ手段はここしか無かった。 利用者が中高生、とくに女性に偏ったのは、好みの問題ではなく条件の問題である。 パソコン側の無料ホームページサービスと決定的に違うのは、 作る道具と見る道具が同じだったことでもある。 パソコンでは、HTMLを書いてFTPで上げるという手順を通る。 ここでは携帯の画面で入力してそのまま公開される。 個人が発信するまでの距離が、この時点でパソコン側より短かった。

  2. 2005キリ番も、掲示板も、小さい画面で同じ形をしていた2005年のネットへ →

    ここで起きたことのうち最も興味深いのは、 パソコン側の個人サイト文化が、そのままの形で再現されたことである。 ホームページ上のアクセスカウンターでキリ番を踏んだ人が、 サイトの作成者に報告する。掲示板に記念のコメントを書き込む。 [キリ番](/culture/kiriban)も[掲示板](/culture/chat-room)も、 1990年代のパソコンの画面で育った習慣だが、 それが携帯電話という別の系統の端末の上で、独立に同じ形をとった。 画面の大きさも、入力手段も、利用者の年齢も違う。 それでも同じ作法が現れたということは、 その作法が画面の都合ではなく、「自分の場所を持つ」という形式の側から出てきた ことを示している。訪問者の数が見えるなら数えたくなり、 切りのいい数字が出たら誰かに言いたくなる。 2005年に連載された「恋空」は、その延長で生まれた大ヒット作になった。 シリーズ累計730万部。携帯の画面で書かれた文章が紙の本を大量に売るという、 それまで存在しなかった経路がここで開いている。

    番号付きメニューアクセスカウンタキリ番の報告依頼部品はパソコンの個人サイトと同じ
    携帯電話の画面に作った個人ホームページ120px
    ☆★ ○○のおへや ★☆
    ようこそ! 来てくれてありがとう(^^)
    1 プロフィール
    2 日記
    3 掲示板
    4 アルバム
    5 リンク
    000000あなたは 01234 人目
    キリ番踏んだら掲示板に書いてね!
    2005年の画面構造部品の並びが、パソコンの個人サイトとほとんど同じである。 挨拶、プロフィール、日記、掲示板、アルバム、リンク、そしてカウンタ。 画面の幅は10分の1以下で、入力手段も数字キーしかない。 それでも同じ構成に落ち着いたということは、 この形が画面の都合ではなく「自分の場所を持つ」という形式から出ているということになる。 最下部の一行が要点である。 訪問者の数が見えていて、切りのいい数字を踏んだ人が名乗り出る。 1990年代のパソコンの画面で育った作法が、 まったく別系統の端末の上で、独立に同じ形をとった。 そして項目に番号が振ってあるのは、当時の携帯Webに共通する作法だった。 カーソルで降りるより、数字キーを1回押すほうが速い。 作る側は、その速さを前提に自分のページの構成を決めていた。 これは実際の画面の複製ではなく、構成を説明するための模式図である。全角十数文字が数行。この幅の中に、パソコンの個人サイトと同じ部品が一式入っている※ 実際の画面の複製ではなく、当時の構成を説明するために作成した模式図です。
  3. 2020ホームページ機能とガラケー対応が、同じ日に終わった2020年のネットへ →

    2020年3月31日、ホームページ・ブログ・アルバム・掲示板・メールマガジン・ アンケート・読書ログの各機能が終了し、 フィーチャーフォン向けサービスの提供も同じ日に終わった。 以後は小説の投稿・編集・検索・閲覧に特化したサービスになる。 この日付の重なりが、この場所の性格を言い当てている。 個人が場所を持つという形式と、携帯電話の画面という条件は、 ここでは最初から一組だった。片方が要らなくなれば、もう片方も残らない。 2020年時点で月間ページビューは15億、月間ユニークユーザー数は250万に達していた。 人が来なくなって終わったのではない。 来ている人が使っているものが、ホームページではなく小説になっていた。 形式のほうが先に役目を終えたという順序である。 そして2025年3月31日、小説投稿サイトとしての単独運営も終わり、 同社の別サービスへ合併された。1999年から26年になる。

なぜ終わったのか

終わり方が二段になっている。 第一段は2020年3月31日で、ホームページ作成という機能そのものが終わった。 理由は利用者が減ったことではなく、来ている人の使い方が小説へ移っていたことである。 同じ日にフィーチャーフォン向けの提供も終えており、 「携帯電話で自分のページを作る」という組み合わせが、ここで完全に閉じた。 第二段は2025年3月31日で、小説投稿サイトとしての単独運営が終わり、 同じ会社のWeb小説サイトへ合併された。 作品の移動のために、投稿された作品を端末へダウンロードできるバックアップ機能と、 移行先での作品インポート機能が用意されている。 書いたものを持ち出す手段が用意された終わり方であり、 この点は、同じ時期に閉じた他の場所と比べて例外的に丁寧だった。

系譜

関わりの深い文化と用語

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当時のページを見る

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保存状況: わずかに保存 トップページは採取されているが、利用者が作った個々のページは 携帯電話向けの形式で提供されていたため、ほとんど残っていない

この時代のインターネットへ

魔法のiらんどだけを見ても、当時の空気は分かりません。同じころ何が存在していたかを見てください。

出典

  1. 報道「魔法のiらんど」、ホームページやブログ機能をきょう終了 小説投稿に特化したサイトに刷新ITmedia NEWS 2020-03-31
    NTTドコモの「iモード」と同じ1999年にスタートしたこと。 利用者が自身のホームページを無料で作成し友人や他の利用者と交流できる機能が "ガラケー世代"の中高生に支持されたこと。 ホームページ上のアクセスカウンターで「キリ番」を踏んだ人がサイトの作成者に報告したり、 掲示板に記念のコメントを書き込んだりする文化も定着したこと。 2005年に連載された「恋空」が大ヒット作となったこと。 2020年3月31日にホームページ・ブログ・アルバム・掲示板・メールマガジン・アンケート・ 読書ログの各機能とフィーチャーフォン向けサービスの提供を終了したこと。 当時の媒体資料で月間ページビュー15億、月間ユニークユーザー数250万
    確認日: 2026-08-17
  2. 一次資料小説投稿サイト「魔法のiらんど」サービス終了、Web小説サイト「カクヨム」へ合併株式会社KADOKAWA 2024-09-26
    2025年3月31日をもって単独でのサービス運営を終了し「カクヨム」へ合併すること。 1999年のサービス開始から25年に及んだこと。 作品の移動のために2024年9月26日から「バックアップ機能」(投稿作品を端末へダウンロード)と 移行先の「作品インポート機能」を提供したこと
    確認日: 2026-08-17
  3. 一次資料【サービス開始から21年】「魔法のiらんど」がこれまでの歴史をふり返る特設ページを公開!株式会社KADOKAWA 2021-11-25
    1999年より無料ホームページ作成サイトとしてサービスを開始したこと。 2020年4月1日に小説投稿に特化したサイトへ大幅リニューアルしたこと。 「恋空」がシリーズ累計730万部を突破していること。 特設ページを2000年代前半頃に流行した個人ホームページを参考にデザインしたとしており、 運営自身がこのサービスを個人ホームページ文化の側に位置づけていること
    確認日: 2026-08-17
  4. 公的資料平成18年版 情報通信白書 「インターネットの利用状況」総務省
    平成17年末の端末別利用者数。携帯電話のみでインターネットを利用する層が1,921万人(22.5%)おり、 パソコンを前提にしないサービスに需要があった規模の裏づけ
    確認日: 2026-08-17

このページの記載は 2026-08-17 時点の調査に基づきます。誤りのご指摘・情報提供