INTERNET — 1999

1999年のインターネット

三つの入口が、同じ年に開いた

第1層 黎明期存在したサービス 15この年に開始 5

1999年末のインターネット利用者数は2,706万人。国民の2割強という段階で、 接続はまだダイヤルアップが主流、多くの人が23時のテレホーダイを待ってつないでいた。 数字の上ではまだ普及の途上である。 それにもかかわらず、この年は日本のインターネット史で最も密度が高い一年になった。 2月22日にiモードが始まり、5月30日に2ちゃんねるが開設され、9月28日にYahoo!オークションが始まっている。 この三つは互いに無関係に生まれたが、結果としてその後10年の日本のネットを形づくる三つの入口になった。 iモードは、パソコンを持たない層を直接インターネットへ引き入れた。 それまで「インターネットをする」にはパソコンを買うところから始める必要があったが、 携帯電話しか持っていない中高生や営業職が、同じ年から同じネットワークの利用者になった。 ただし彼らが見ていたのはパソコン向けとは別の画面で、 ここから日本のWebは事実上二つに分かれていく。 2ちゃんねるは、名前を名乗らずに書ける場所を大量に用意した。 個人サイトが「自分の場所を作ってから発信する」形式だったのに対し、 ここでは場所を用意せずにいきなり書ける。書く人の総数が桁違いに増えた。 Yahoo!オークションは、見ず知らずの個人同士の取引を成立させた。 それまでネットは情報を見る場所だったが、この年から売買の場所にもなる。 つまり1999年に起きたのは、発信の敷居・参加の端末・取引の相手という三つの前提が、 同時に書き換わったことである。翌年からのブロードバンド普及は、 この年に開いた入口を一気に広げる役割を果たした。

この年のインターネット

1999年時点で日本から使えたサービスのカテゴリ。存在しなかった領域は表示していません。

掲示板コミュニティ検索ポータルツールニュースケータイホスティング個人サイト接続サービスチャットメールショッピングオークション

1999年の主役

この年に生まれたもの、消えたもの

1999年に起きたこと

1999年のネット文化

1997 — 2012着メロ携帯電話の着信音を、自分で選んだ曲に変える文化。 はじめは専門誌を見ながら自分で打ち込むものだったが、公式メニューから買えるようになり、 日本のネットで個人が少額を払う習慣を最初に作った領域になった。1987 — 2008チャットルーム同じ時刻に集まった人どうしが、短い文を即時にやりとりする「部屋」。 パソコン通信の機能として始まり、個人サイトが自分の部屋を置く形へ広がった。 通信料が定額になる時間帯に人が集まるという、日本特有の集まり方をした場所でもある。1997 — 2008直リンク禁止他所のサイトの画像やファイルを自分のページから直接呼び出すことを禁じる注意書き。 個人サイトの「お約束」ページにほぼ必ず書かれていた。マナーの問題に見えて、 実際には転送量が有限で、しかも呼ばれた側だけが払うという料金の構造から生まれている。1996 — 2008キリ番アクセスカウンタが10000などのきりのいい数字になったとき、その訪問者が申告して 記念のイラストや文章をもらう習慣。個人サイトの訪問者数が「数えられる規模」だった時代に、 数字そのものをイベントに変えた文化。1996 — 2006工事中ページ中身がまだ無いページに「工事中」と書いて公開しておく習慣。作業員やバリケードの アニメーションGIFが添えられることが多かった。未完成であることを隠さず、 むしろ表示していたという点に、当時のサイトの位置づけが表れている。1998 — 2010メールマガジン登録した購読者へ定期的にまとまった内容のメールを配信する仕組み。「メールマガジン」という呼称自体が 1990年代末に広まった和製英語で、英語圏では newsletter と呼ばれる。 個人が定期刊行物の発行人になれた、日本のネット史で最初の形式だった。1996 — 2007相互リンク個人サイト同士が互いにリンクを張り合う習慣。掲示板やメールで申請し、 了承を得てから張るという手続きを伴うことが多かった。検索エンジンが弱かった時代に、 サイトを見つける主要な経路そのものだった。1995 — 2004テレホタイムNTTのテレホーダイが適用される23時から翌朝8時までの時間帯。この9時間だけ通信料が定額になるため、 日本中のネット利用者が同じ時刻に一斉に接続した。掲示板もチャットも23時に人が現れるという、 料金制度が文化を作った例。1998 — 2005テキストサイト文章そのものを読ませることを主目的にした個人サイト。画像も動画も置けない、 あるいは置くと重すぎるという条件の下で、文体と改行と間の取り方だけで 読ませる技術が磨かれた。2000年前後の数年間に集中して現れた形式。

1999年の環境

スペック表ではありません。なぜ当時のWebがあの見た目・使い方だったのかを 理解するための前提です。

主流端末
デスクトップPC/ノートPC/携帯電話(iモード対応機がこの年から)
ブラウザ
Internet Explorer 4 / 5(Windows 98 の普及とともにシェアを伸ばしていた)/Netscape Communicator 4.x
回線
ダイヤルアップ(アナログ 33.6k〜56kbps)/ISDN 64kbps/テレホーダイ(23時〜翌8時が定額)
画面解像度
640×480 から 800×600 への移行期
携帯電話
iモード(この年2月開始)/EZweb
保存容量
フロッピーディスク/CD-R/数GB〜10GB程度のHDD
主な検索手段
ディレクトリ検索が中心。個人サイトは相互リンクを辿って見つけるのが主流

1999年のネット人口

インターネット利用者数2706万人

1999年の画面

実際の画面の複製ではなく、当時の構成を説明するために作成した模式図です。

www.geocities.co.jp/.../1234/800px
タイトル画像(自作GIF)
いらっしゃいませ!
メニュー
更新履歴
自己紹介
リンク集(相互リンク)
工事中
000000あなたは○○人目の訪問者です
BBS(掲示板)
1999年の画面構造タイトル画像、更新履歴、自己紹介、リンク集、工事中表示、そして最下部のアクセスカウンタ。 この並びが個人サイトのほぼ標準構成だった。カウンタが訪問者にも見えていたことが、 キリ番という交流の儀礼を成立させている。工事中表示が普通だったのは、 サイトを一度に完成させてから公開するという前提があったためである。背景に画像をタイル状に敷き詰めるのが標準的だった※ 実際の画面の複製ではなく、当時の構成を説明するために作成した模式図です。
www.yahoo.co.jp800px
カテゴリ
カテゴリ
新着情報
バナー広告 468×60
1997年の画面構造画像はロゴとバナーだけで、残りはすべてテキストリンク。カテゴリを2段組で並べ、 その下に新着情報が続く。ダイヤルアップの従量課金では、重いページは「遅い」ではなく「高い」ページだった。 軽さは美意識ではなく利用者の財布の都合であり、当時のレイアウトはその制約から逆算されている。800×600 のディスプレイを前提にした、横スクロールの出ない固定幅※ 実際の画面の複製ではなく、当時の構成を説明するために作成した模式図です。
iMenu(iモード公式メニュー)120px
iMenu
1 メニューリスト
2 料金照会
3 メール設定
4 お知らせ
ニュース/天気
着信メロディ
乗換案内
2000年の画面構造項目の頭に番号が振ってあるのは、カーソルで降りていくより数字キーを1回押すほうが速いからである。 片手で、歩きながら、数秒で目的に着く必要があった。 検索窓が無いのは技術的な制約ではなく、審査を通った公式サイトを階層で並べるという設計思想の結果で、 自由に広がるパソコンのWebとは前提そのものが違っていた。全角十数文字が数行という表示領域。横スクロールという概念自体が無い※ 実際の画面の複製ではなく、当時の構成を説明するために作成した模式図です。
www.rakuten.co.jp800px
ジャンル
ジャンル一覧
特集バナー
新着ショップ
ランキング
出店案内
1999年の画面構造商品を横断して比較するのではなく、ジャンル → 店 → 商品という順路が優先されている。 「知らない相手から買って大丈夫か」という当時の警戒に対して、 店を選ばせるという設計で答えていた。フッタ近くに出店案内があるのは、 買う人と同じくらい売る人を集める必要があったからである。※ 実際の画面の複製ではなく、当時の構成を説明するために作成した模式図です。

当時のWebを見る

実際に保存された1999年のページは、外部のWebアーカイブで閲覧できます。 保存の有無はサービスごとに異なるため、各サービスのページから状態を確認してください。

サービス索引から探す

出典

  1. 公的資料平成12年版 通信白書 「4 インターネットの普及」(郵政省(現 総務省))
    平成11年末のインターネット利用者数2,706万人
    確認日: 2026-08-16
  2. 報道ドコモの3G「FOMA」と「iモード」が本日31日終了 ── 歴史に残るサービスはどう始まったのか(ケータイ Watch) 2026-03-31
    iモードの開始日1999年2月22日
    確認日: 2026-08-16
  3. 報道5月30日:巨大掲示板「2ちゃんねる」創設(ITmedia PC USER) 2016-05-30
    2ちゃんねるの開設日1999年5月30日
    確認日: 2026-08-16
  4. 一次資料【Yahoo!オークション】サービス開始から25周年を迎え、累計出品数は167億品以上に(LINEヤフー株式会社) 2024-10-07
    Yahoo!オークションの開始日1999年9月28日
    確認日: 2026-08-16
  5. 報道NTT、「テレホーダイ」の提供を2024年で終了 90年代のインターネットを支えた長寿サービス(ITmedia NEWS) 2022-01-21
    23時から翌8時までの定額制という仕組み
    確認日: 2026-08-16

1999三つの入口が、同じ年に開いた
19952023