はてなダイアリー

統合・吸収ブログコミュニティ20032019(16年)

2003年に始まったブログサービス。「はてなキーワード」を介して日記と日記が繋がるという 独自の仕組みを持っていた。2019年に後継サービスへ統合され、 運営が自動で記事を移し、古いURLにリダイレクトまで設定して終わった。

基本情報

サービス名
はてなダイアリーはてダ
開始
20031月16日
ベータ版の提供開始日。正式版の公開は同年3月13日で、いずれも運営が自社の告知に記している
終了
20193月7日
運営
株式会社はてな(2003〜2019)
当時のURL
http://d.hatena.ne.jp/
現在
統合・吸収(2026-08-17時点)

その時代の立ち位置

誰が使っていたか
技術系の書き手と、長い文章を書く層。 語を書けば自動的に説明と他の日記へつながるため、 用語の多い分野ほど機能が効いた
何のために
日付順に日記を書くこと。ただし記事どうしをつなぐ手段が、 リンクを自分で張ることではなく語を書くことだった点が他と違っていた
何が新しかったか
「はてなキーワード」を介して日記と日記が繋がるという体験。 本文中の語が自動的にキーワードのページへリンクされ、 そのページから同じ語を書いた他の日記へ辿れる。 書き手が意識してリンクを張らなくても、語彙が経路になるという設計だった
今でいう何か
タグやハッシュタグで記事が横につながる仕組み。 ただし当時は、書き手がタグを付けるのではなく、本文の語が自動的に拾われた
当時の競合
Yahoo!ブログ

はてなダイアリーを時間旅行する

デザインの変化を並べるだけではなく、なぜそう変わったのかを書いています。

  1. 2003語が、日記と日記をつないだ2003年のネットへ →

    2003年1月16日にベータ版、3月13日に正式版が公開された。 日付順に日記を書くという形式そのものは、この時期に広がりつつあった他のサービスと変わらない。 違っていたのは、記事どうしのつなぎ方である。 運営は自社の告知でこう書いている ── 「はてなキーワード」を介して日記と日記が繋がるという新しい体験を提供した、と。 本文に語を書くと、その語が自動的に説明のページへリンクされる。 そのページからは、同じ語を書いた他の人の日記へ辿れる。 書き手はリンクを張っていない。語を使っただけである。 同じ時期の[個人ホームページ](/culture/sougo-link)では、 つながるためには相互リンクを申請して了承を得る手順が要った。 [トラックバック](/culture/trackback)は、記事を書いた側が相手先へ通知を送る仕組みだった。 ここではその手順が無い。使った言葉が、そのまま経路になる。 用語の多い分野ほど効きが強く、技術系の書き手が集まったのはそのためでもある。

    本文の語が自動でリンクになる書き手はリンクを張らない日付順
    本文の語が、そのままリンクになる日記700px
    2005-○-○ 日記のタイトル
    本文(ふつうの文章)
    本文(語に自動でリンクが付く ── 書き手は張っていない)
    本文
    この語を含む日記へ / 語の説明ページへ
    コメント(○件)
    前の日 / 次の日 / 月別 / 一覧
    2005年の画面構造画面の見た目は同時期のブログとほとんど変わらない。 違いは、本文の中のリンクを誰が張ったかにある。 ここでは書き手がリンクを張っていない。 語を書いただけで、その語が自動的に説明のページへつながり、 同じ語を書いた他の人の日記へ辿れるようになる。 同じころ、[相互リンク](/culture/sougo-link)は申請して了承を得る手続きだったし、 [トラックバック](/culture/trackback)は書いた側が相手へ通知を送る仕組みだった。 どちらも人が決めてつなぐ。ここでは語彙がそのまま経路になっている。 この設計は、用語の多い分野ほど強く効いた。 技術の話を書けば、専門語のすべてが自動的に他の書き手とつながる。 一方で、日常の言葉ばかりの文章では意図しない語まで拾われる。 つなぐ判断を機械に任せたことの利点と副作用が、同じ仕組みから出ている。 これは実際の画面の複製ではなく、構成を説明するための模式図である。見た目は当時のブログと変わらない。違うのは本文中のリンクを誰が張ったか※ 実際の画面の複製ではなく、当時の構成を説明するために作成した模式図です。
  2. 2019URLを生かしたまま終わった2019年のネットへ →

    2018年8月30日に統合が告知され、2019年3月7日に閲覧を除くすべての機能が停止して、 後継サービスへの自動移行が始まった。 理由は運営自身の言葉で説明されている。 「システムがレガシー化し、今後の継続的な運用がより困難になってきている」こと、 そして二つのブログサービスを並行して保守するより、 新しい側に開発の力を集中するほうが良いと判断したこと。 担当者は「苦渋の決断でした」と書いている。 注目すべきは、閉じるときに何を守ろうとしたかである。 移行は利用者が操作しなくても運営側で自動的に行われ、 さらに古いURLから移行先へのリダイレクトまで設定された。 自分で先に移行を済ませていた人についても、 リダイレクトの設定に気づいていない例が多かったため、 運営が一括で設定している。 その理由として挙げられている三つが、この判断の性格を示している。 読者に移転先を伝えられないこと、検索エンジンから重複とみなされうること、そして 「過去の日記にアクセスできなくなると、ドキュメントのリンクが失われてしまう」こと。 切れるのは自分のページだけではない。 そのURLを参照していた他の誰かのページも、同時に壊れる。 15年分の記事が外部から参照されていたサービスにとって、 URLを生かすことは自社の都合ではなく、 リンクを張った側への責任として扱われている。

なぜ終わったのか

運営は理由を明示している。 システムのレガシー化によって継続的な運用が困難になっていたこと、 二つのブログサービスを並行して保守するより新しい側へ開発を集中するほうが 利用者の期待に沿えると考えたことの二つである。 2013年に後継サービスが正式化してから5年で、利用者数でも後継が上回っていた。 終わりの原因が、外側ではなく内側にある点がこの事例の特徴といえる。 利用者が離れたのでも、形式が古びたのでもなく、 作った仕組みそのものが保守しきれなくなった。 日本のインターネットで長く続いたサービスの終了理由としては、 比較的はっきり言語化されている部類にあたる。

系譜

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保存状況: 一部保存 リダイレクトによって多くの記事は後継サービス側で読める。 ただし移行を望まず削除された分は残っていない

この時代のインターネットへ

はてなダイアリーだけを見ても、当時の空気は分かりません。同じころ何が存在していたかを見てください。

出典

  1. 一次資料2019年春「はてなダイアリー」終了のお知らせと「はてなブログ」への移行のお願い株式会社はてな 2018-08-30
    2003年1月16日よりベータ版の提供を開始し、同年3月13日に正式版を公開したこと。 「はてなキーワード」を介して日記と日記が繋がるという新しい体験を提供し、 日本のブログサービスの黎明期を牽引してきたという運営自身の記述。 後継サービスは2011年11月7日にベータ版、2013年1月23日に正式版を公開したこと。 統合の理由として 「はてなダイアリーを支えるシステムがレガシー化し、 今後の継続的な運用がより困難になってきているという状況があります」、 および二つのブログサービスを継続してメンテナンスするより新しい側に 開発リソースを集中するほうがよいと考えたこと。「苦渋の決断でした」との記述
    確認日: 2026-08-17
  2. 一次資料2019年3月7日をもって、はてなダイアリーの閲覧を除いた全ての機能を停止しました。 また、はてなダイアリーからはてなブログへの自動移行を開始します株式会社はてな 2019-03-07
    2019年3月7日に閲覧を除く全機能を停止し、後継サービスへの自動移行を開始したこと。 自動移行の対象については運営側でリダイレクト設定を行うこと。 自分で移行した利用者にはリダイレクト設定に気づいていない例が多かったため、 一括で設定を実施したこと。その理由として、 読者に移転先を伝えられないこと、検索エンジンから重複コンテンツとみなされる可能性、 「過去の日記にアクセスできなくなると、ドキュメントのリンクが失われてしまう」 ことを挙げていること
    確認日: 2026-08-17
  3. 一次資料Movable Typeは11周年を迎えましたシックス・アパート株式会社 2012-10-08
    2002年10月の日本語ランゲージパック公開。 日本でブログという形式が広がり始めた直後にあたる時期の裏づけ
    確認日: 2026-08-17
  4. 公的資料(2)ブログとSNS(平成19年版 情報通信白書)総務省
    この時期のブログとSNSの利用規模
    確認日: 2026-08-17

このページの記載は 2026-08-17 時点の調査に基づきます。誤りのご指摘・情報提供