トラックバック
別のブログへリンクを張ったときに、相手へ「あなたの記事を参照した」と通知する仕組み。 リンクされた側は参照している記事の一覧を自動で作れた。 ブログ同士が相互に反応し合う光景を作った機能で、いまはほとんど残っていない。
なぜ当時あたりまえだったのか
リンクは一方向にしか働かない。誰かが自分の記事にリンクを張っても、 張られた側からは分からないというのがWebの基本的な性質である。 検索エンジンで自分のURLを探すか、アクセス解析の参照元を眺めるしかなかった。 トラックバックは、この非対称を通知で埋める仕組みだった。 リンクを張った側のサーバが、相手のサーバへトラックバックpingを送る。 送られるのは記事のURL・タイトル・内容の要約で、 受け取った側は「この記事を参照している記事の一覧」を自動で生成できた。 データ形式と送信手順が統一されていたため、 ブログツールやサービスが違っても相互に通知が届くという点が重要だった。 個人サイトの時代、他人のページとつながるには相互リンクを申請して了承を得る必要があった。 トラックバックはその工程を消し、記事単位で、機械的につながる方法を用意した。 リンクが会話の始まりになるという体験は、この仕組みが作ったものである。
なぜ消えたのか
通知を受け取る側が中身を選べない、という設計上の弱点が致命的だった。 無関係な広告サイトから大量に送りつける行為が広がり、 記事の下に見知らぬリンクが並ぶ状態が常態化する。 受け取りを承認制にする、そもそも機能を切る、という対応が進み、 相互に反応し合うという当初の用途が成立しなくなった。 同時に、参照を可視化する役割はソーシャルメディアが引き受けた。 引用して投稿すれば、元の投稿者に通知が届き、読者にも見える。 同じことを、通知の仕組みを自作しなくても運営側がやってくれるなら、 ブログ同士で規格を合わせる理由は残らない。
今でいうと何か
SNSの引用投稿と、その通知。 リンクを張ったことが相手に伝わり、読者にも見えるという点は同じで、 違うのは同じサービスの内側でしか働かないことである
※ 完全に同じものではありません。機能や文化の系譜として近いものを挙げています。