Facebook(日本語版)

現存SNSコミュニティ2008現在(18年)

2008年5月19日に日本語版が始まった実名前提のSNS。日本語への翻訳は運営ではなく 利用者のボランティアが担い、430人が3週間で約1,500文を訳した。 実名という土台は日本では最後まで土台にならず、書く場所ではなく見る場所として定着した。

基本情報

サービス名
Facebook(日本語版)フェイスブック、FB
開始
20085月19日
日本語版サイトの提供開始日。同日に創業者が都内で会見し、日本市場への参入を発表している。 ドメイン名は変えず、言語設定の切り替えで日本語が表示される形だった
終了
継続中
運営
米Facebook(現 Meta Platforms)(2008〜)
当時のURL
http://www.facebook.com/
現在
https://www.facebook.com/

その時代の立ち位置

誰が使っていたか
最初期は海外とのつながりを持つ層と、技術に明るい層に偏っていた。 その後も日本では書く人より見る人のほうが多い状態が続き、 利用率でもLINEに大きく水をあけられている。 日本のネットが20年かけて育てたハンドル文化と正面から食い違う設計だったことが、 最後まで効き続けた
何のために
実際に知っている相手と、実名でつながること。 公開範囲を相手ごとに細かく切り替えられる点が設計の中心にあり、 「誰に見せるか」を選ぶための道具として作られている
何が新しかったか
日本語化を利用者にやらせたこと。専用の翻訳アプリを使い、 430人が3週間で約1,500文を訳し、どの訳文を採るかは投票で決めている。 現地法人も置かず、提携先も作らないまま言語だけを開けるという参入の仕方は、 当時の海外サービスの日本進出としても例外的だった
今でいう何か
そのまま現在も使われている。ただし日本での役割は、 知り合いとの近況共有から、実名が要る場面(同窓・地域・仕事)へと狭まっている
当時の競合
mixiGREETwitter(日本語版)

Facebook(日本語版)を時間旅行する

デザインの変化を並べるだけではなく、なぜそう変わったのかを書いています。

  1. 2008日本語版は、利用者が訳した2008年のネットへ →

    2008年5月19日に日本語版の提供が始まった。 特徴的なのは翻訳の作り方で、運営ではなく利用者が訳している。 Facebook上で使える専用の翻訳アプリケーションを通じて430人が3週間かけて約1,500文を訳し、 どの訳文を採用するかは投票で決めた。運営とプロの翻訳者はその後の確認に回っている。 参入の仕方も当時としては異例だった。 現地法人も大きなオフィスも置かず、既存企業との提携も組まない。 メッセージ類を日本語にして参加を促すだけの、報道が「緩やか」と表現した入り方である。 日本市場に合わせて作り直すのではなく、言語の扉だけを開けて反応を見るという順序だった。 この時点で世界のアクティブ利用者は7,000万人を超え、 米国以外の利用者が全体の66%を占めている。 2006年には93%が米国の利用者だったので、2年で構成が入れ替わったことになる。 日本語版はその世界展開の一区画として始まった。

  2. 2010「特殊な市場」と名指しされた2010年のネットへ →

    2009年11月、日本法人を翌年に設立して本格参入する計画が明らかになる。 米国外に開発拠点を置くのはこれが初めてだった。 日本語版の利用者は当時およそ100万人で、 同じ時期のmixiがパソコン向けだけで約1,800万人だったことを思えば、まだ桁が違う。 注目したいのは、その理由を運営自身が言語化していた点である。 同社の国際戦略担当者は、日本を「言語をローカライズしただけでは攻略しづらい特殊な市場」と表現し、 理由として携帯電話からのネット利用が活発で端末ごとにブラウザの仕様が違うこと、 そして日本の利用者が実名コミュニケーションに抵抗が強いことを挙げている。 この二つは、どちらも日本のネットが独自にたどってきた道の産物だった。 携帯Webは公式メニューという別の生態系を10年かけて育て、 名乗り方はパソコン通信のハンドルから匿名掲示板の名無しへと、 実名から遠ざかる方向に積み上がってきている。 外から見て「特殊」に見えるものの正体は、 その土地で先に完成していた作法だった。

    実名と顔写真投稿ごとに公開範囲を選ぶニュースフィード3カラム
    Facebook の投稿欄とニュースフィード960px
    検索/ホーム/プロフィール/アカウント
    顔写真
    実名
    ニュースフィード/メッセージ/イベント/友達
    「いまなにしてる?」入力欄
    [投稿] [公開範囲 ▼ 全員/友達/カスタム]
    友達の投稿(実名+顔写真+本文)
    いいね! / コメント / シェア
    友達の投稿(写真アルバムを追加しました)
    いいね! / コメント / シェア
    広告
    知り合いかも
    2010年の画面構造この画面でいちばん日本のSNSと違ったのは、投稿ボタンの隣にある公開範囲の選択だった。 設定画面に一度だけ入って決めるのではなく、 書くたびにその場で「誰に見せるか」を選ぶ。 電話番号や住所や出身校まで登録できる前提とセットで、 どこまで出すかを項目ごとに刻むという設計思想がここに出ている。 その前提が実名である。実名で登録し、実際に知っている相手とつながる。 日本のネットはこの時点ですでに、 パソコン通信のハンドルから匿名掲示板の名無しまで、 名乗りを薄くする方向に20年積み上げてきたあとだった。 同じ画面が、来た土地によって別の意味を持つ例といえる。 これは実際の画面の複製ではなく、構成を説明するための模式図である。3カラム。左に自分、中央に流れてくるもの、右に広告という配置※ 実際の画面の複製ではなく、当時の構成を説明するために作成した模式図です。
  3. 2018書く場所ではなく、見る場所になった2018年のネットへ →

    普及したあとも、日本での使われ方は他国と同じにはならなかった。 総務省が日米英独を比べた調査では、 日本以外の3か国はFacebookの利用者が日本より多く、書き込む頻度も高い。 日本では、どのソーシャルメディアでも 「ほとんど発信せず他人の書き込みの閲覧しか行わない」と答える利用者のほうが多数を占めている。 この結果は、実名だから書かないのか、もともと書かないのかを分けて考えさせる。 日本のネットには、書かずに読むだけの参加を指す「ROM専」という語が 1990年代から存在していた。読むだけという関わり方は、 実名SNSが持ち込んだ性質ではなく、それ以前からあった参加の型である。 実名は、その型を変えるほどの力を持たなかった。 結果として日本のFacebookは、近況を流し合う場所というより、 実名が要る場面 ── 同窓、地域、仕事 ── のための連絡簿に近い位置へ落ち着いた。 同じサービスが国によって別の役割を持つという現象を、 日本でもっとも大きな規模で見せた例といえる。

系譜

関わりの深い文化と用語

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この時代のインターネットへ

Facebook(日本語版)だけを見ても、当時の空気は分かりません。同じころ何が存在していたかを見てください。

出典

  1. 報道「実名が基本」、Facebookが日本語版スタート@IT(ITmedia) 2008-05-19
    5月19日から日本語版サイトの提供を開始し、ドメイン名は変えず言語設定で切り替える形だったこと。 日本語への翻訳は利用者がボランティアで行い、専用の翻訳アプリケーションを使って 430人が3週間かけて約1,500文を訳し、訳文の選択は投票で決めたこと。 現地法人や大きなオフィスを開かず既存企業とのアライアンスも組まない参入だったこと。 アクティブユーザーは7,000万人超で世界第2位、2006年に93%だった米国ユーザーの割合が 2008年5月には34%まで下がっていたこと
    確認日: 2026-08-17
  2. 報道Facebookが日本法人設立へ 実名SNSでmixi追撃ITmedia NEWS 2009-11-11
    翌年1月にも東京都内に日本法人を設立する計画で、米国外に開発拠点を置くのは初だったこと。 日本語版は2008年5月に開始し当時の利用者は約100万人、同時期のmixiはパソコン向けで 約1,800万人だったこと。同社の国際戦略担当者が日本を 「言語をローカライズしただけでは攻略しづらい特殊な市場」と表現し、 理由に携帯電話からのネット利用が活発で端末ごとにブラウザの仕様が異なること、 日本のユーザーが実名コミュニケーションに抵抗が強いことを挙げていること
    確認日: 2026-08-17
  3. 公的資料ソーシャルメディアの利用状況(平成30年版 情報通信白書)総務省
    日本ではLINEの利用率が最も高く、少しでも利用している人を含めた割合はおよそ60%。 全体の傾向として「ほとんど情報発信や発言せず、他人の書き込みや発言等の閲覧しか行わない」 と回答する利用者の割合が、書き込みなどを行う利用者よりも多いこと。 日米英独の比較では、日本以外の3か国はFacebookの利用者が日本と比べて多く、 頻繁に書き込みをしている割合も高いこと
    確認日: 2026-08-17

このページの記載は 2026-08-17 時点の調査に基づきます。誤りのご指摘・情報提供