LAYER 5 — 2015〜2021

アルゴリズム化

何を見るかを、自分で選ぶのではなく推薦される側に回った層。 時系列で並んでいたフィードが推薦順に置き換わり、「探す」より「流れてくる」が インターネットの標準的な体験になった。

おすすめフィード動画の短尺化インフルエンサーSNS検索サブスクリプション

この層で何が変わったか

この層で変わったのは技術ではなく、情報に出会う順路である。 それまでのインターネットは、ユーザーが起点だった。検索窓に言葉を入れる、ブックマークを開く、 リンクを辿る。いずれも「自分が選んだ」という手続きを踏んでいた。 この層で主流になったのは、選ばずに受け取る形式である。時系列に並んでいたフィードが 推薦順に置き換わり、何が上に来るかの決定権がユーザーの手を離れた。 影響は表示順にとどまらない。コンテンツの作り方そのものが、推薦されやすい形へ最適化されていく。 短く、冒頭で引きつけ、反応を引き出す。この層以降のインターネットの文章と動画の作法は、 読者ではなく推薦システムに向けて書かれている部分がある。 この層の後半、2020年からの2年間は、その性質が生活の側へ及んだ時期にあたる。 外に出ない時間が増えたことでインターネットのトラヒックは大きく伸び、 それまで「余暇にやること」だった通信が、働くことや学ぶことの経路そのものになった。 推薦で受け取る形式は、選ぶ手間が省ける便利さとして広まったが、 この時期には選ぶ機会そのものが外部の事情で減っていたという条件が重なっている。 受け取る側の姿勢が変わったのではなく、受け取る以外の選択肢が細っていた。 なお、この層と次の層の境目は2022年に置いている。 推薦は「どのページを先に見せるか」を決める仕組みで、ページを開く前提は壊していない。 その前提が揺らぐのは、質問に文章で答えが返る仕組みが一般に届いてからである。

この層のデザイン言語

ダークモード縦型動画全画面カードマイクロインタラクション

この層の年

2015世界から見ると、日本にだけガラケーが残っていた2015年、スマートフォンの利用率は日本が6割強に対し、米国・英国・ドイツは8割程度、韓国・中国は9割以上。 日本ではフィーチャーフォンの利用率が4割程度残っていた。 20代の87.0%がスマートフォンを使う一方、60代の62.0%はフィーチャーフォンだった。2016最後に増えたのは子どもだった2016年のインターネット利用者数は1億84万人、人口普及率83.5%。端末別ではパソコン58.6%、 スマートフォン57.9%で、その差は0.7ポイントまで縮んだ。 各年代がすでに飽和するなか、6〜12歳の利用率だけが7.8ポイント上がっている。2017パソコンより電話のほうが多数派になった年2017年の個人のインターネット利用率は80.9%。端末別ではスマートフォンが59.7%、 パソコンが52.5%で、電話で見る人のほうが多くなった。 同時に、何を見るかを自分で選ぶのではなく推薦される形が標準になっていく。20187割が不安を感じながら使っていた2018年の個人のインターネット利用率は79.8%。スマートフォン59.5%がパソコン48.2%を11.3ポイント上回った。 同じ調査で、利用していて不安を感じる人が70.7%。 不安の内容の1位は「個人情報やインターネット利用履歴の漏えい」で84.6%だった。2019「9割」の上端が59歳から69歳へ動いた2019年のインターネット利用率(個人)は89.8%。13歳から69歳までの各階層で9割を超え、 60代以上の利用率が大きく上昇した。同じ年の3月31日、21年分の個人サイトを抱えた Yahoo!ジオシティーズが表示を停止している。2020職場になった年。ただし全員の職場ではなかった2020年、テレワーク実施率は3月の13.2%から4月に27.9%へ跳ね上がった。 ただし業種別では情報通信業55.7%に対し医療・介護・福祉4.3%。 すべての都道府県でスマートフォン利用率が50%を超えた年に、職業による差が最大で13倍開いた。2021漏えいへの不安が9割に達した2021年、インターネット利用時に何らかの不安を感じる人は約75%。 内容の1位「個人情報やインターネット利用履歴の漏洩」は90.1%に達した。 同じ年、テレワークを導入した企業は51.9%と半数を超えたが、導入目的の9割超は感染症への対応だった。

この層の主役

この層の画面

実際の画面の複製ではなく、当時の構成を説明するために作成した模式図です。

Instagram の投稿画面(正方形に切って、選ぶ)375px
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正方形に切り取られた写真
フィルターを選ぶ(横に並んだ小さな見本を左右に送る)
フィルター / 編集(明るさ・彩度・傾き)
キャプション
#ハッシュタグ #ハッシュタグ #ハッシュタグ
場所を追加 / 人物をタグ付け
シェアする
2017年の画面構造完成までの工程が選ぶだけで終わるのがこの画面の要点である。 正方形に切る、見本を送ってフィルターを決める、投稿する。 構図を考える段階も、書く段階も、必須ではない。 当時のスマートフォンのカメラは解像度が高くなかったが、 フィルターは粗さを隠すのではなく様式に変えるので、 うまく撮れないことが不利にならなかった。 正方形という制約も効いている。一枚を鑑賞させる形ではなく、 格子に並べたときに揃う形であり、 投稿は最初から一覧の一マスとして設計されている。 下部のハッシュタグは、後から性格を変えた部分である。 当初は分類の印だったものが、日本では探すための入口になり、 ハッシュタグ検索の回数は世界平均の3倍に達した。 言葉で引く検索から、写真で引く検索へ移った場所がここにある。 これは実際の画面の複製ではなく、構成を説明するための模式図である。縦長のスマートフォン画面。パソコンで作る工程が一つも無い※ 実際の画面の複製ではなく、当時の構成を説明するために作成した模式図です。
www.nicovideo.jp(動画視聴ページ)1024px
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コメント一覧
2007年の画面構造通常の動画サイトが動画とコメント欄を上下に分けるのに対し、ニコニコはそれを重ねた。 右のコメント一覧は補助で、体験の中心は動画の上を流れる文字のほうにある。 別々の日に書かれた反応が同じ場面で同時に現れるため、非同期なのに同時に見ているように感じられた。※ 実際の画面の複製ではなく、当時の構成を説明するために作成した模式図です。

この層のネット文化

出典

  1. 公的資料令和6年版 情報通信白書 「インターネット」(総務省)
    直近のインターネット利用率と利用目的の構成。SNS利用が主要な利用目的として定着している状況
    確認日: 2026-08-15
  2. 公的資料インターネットの利用状況(令和3年版 情報通信白書)(総務省)
    2020年のインターネット利用率(個人)83.4%、端末別で「スマートフォン」68.3%が 「パソコン」50.4%を17.9ポイント上回ること、すべての都道府県で スマートフォンによる利用率が50%を超えたこと
    確認日: 2026-08-17